コミュニケーション

コミュニケーション力の育て方(聴く力)

コミュニケーション力には、「①受け取る力」と「②伝える力」の2種類があり、さらに、言語・非言語の区別があります。一様にコミュニケーション力を高めるという方法では、組織全員のコミュニケーション力を高めるのは難しいのが実際のところです。

今回は、言語で受け取る力「聴く力」について、研修のネタを共有します。

聴く力を高めるには、相手の話を全身全霊で聴く「傾聴」や「文章読解力」「語彙力」「言語修正力」など様々な力が必要になります。

特に、「言語で話す力」が強い人はコミュニケーション力が高いと思われがちですが、「聞き上手」という言葉が昔からあるくらい、この聴く力は重要なスキルだといえます。

話し手ばかりの上司や、こちらの話を聴いてくれない親や先生など…皆さんも嫌な記憶の一つや二つ誰にでもあると思います。こうした人たちは、自分がコミュニケーション力が高いと思いがちですが、話を聴けない人であり、非常に偏ったコミュニケーション力の付き方をしています。

1.強制的に本を読む時間を作る。

時間を決めて、本を読むことに集中する時間を作りましょう。100字以上の感想文を研修対象者に自分の言葉で書いてもらうのも効果があります。講師は、予め、その本を読み、内容を理解したうえで、対象者がしっかり本を読んだうえで感想文を書いているかをチェックしましょう。語彙や言い回しがほかにもあることや、きれいな言い回しを教えることも肝心です。

なぜ、本を読むと聴く力がつくのか、それは、聴く力において、相手の話を理解する能力というのは非常に大きなウエイトをしめているからです。どんなに気も持ちよく「うんうん」と聴いていても、「さっきの話ですが」といった途端、はてな顔をされては、話しているほうは残念な気持ちになります。相手の言葉がわからない、言い回しがわからない、語彙がわからないなど様々なケースがありますが、これは、経験不足に他ありません。

本を読むことは、様々な人の話を聴くことに近い経験を自分のペースで行うことができます。わからないところは、誰かに聞いたり、辞書などで調べることで、より自分の語彙を広げることができます。

2.1分傾聴体験トレーニング

まず、研修対象者がペアになり、相手の話を1分間「傾聴せずに」聞きます。無視してもよいし、不機嫌そうな顔で聞くのも良いです。手や足を組んだり、スマホを見ながら話半分で話を聴かせてみましょう。何か返したい場合は、否定的に返すのも良いでしょう。

次に、「傾聴」して聴きます。顔や目線、姿勢や心を相手に向け、全身全霊で聞くことに集中してもらいます。こちらから一切話をせずに、切り返しや質問、あいづちなどをうまく使って1分間相手が気持ちよく話せるように意識して聴いてもらってください。

これをペアで相互に行い、最後にどんな印象を受けたか、どちらの時間が長く感じたかなどを共有してもらいます。

このトレーニングは、「言語で話す力」に偏った人に特に有効なトレーニングです。しゃべりは得意だけで、人の話をあまり聞いてないという場合は、積極的にトレーニングしてください。苦手な人には、講師が横についてアドバイスをしてあげると良いでしょう。

3.メモトレーニング

講師は、3つのまとめ方、「フロー図」「ツリー図」「マトリックス図」を説明し、少し長めの文を用意し読みきかせます。その内容を、研修対象者はメモを取りながらまとめ、最後に行う質問に答えられるかというトレーニングをします。

このトレーニングは、他の研修や日々の教育の中でも生かせるテクニックなので、研修の序盤などに行うのが有効です。これにより、「聴く力」をサポートすることができます。特に記憶力に自身がない人や頭の中だけで話をつかむのが苦手な人には、このトレーニングが非常に有効です。

4.他己紹介トレーニング

「どうですか?」など幅広い解答を求めるオープンクエスチョンと、「はい/いいえ」や選択肢で答えられるクローズドクエスチョンを意識した質問のトレーニングです。研修対象者がペアになり、相手の今までで一番うれしかった出来事や趣味、好きな芸能人などの質問をし、メモを取るなどさせてみましょう。3分間でより詳細なエピソードを深堀りし、「名前は〇〇、趣味は〇〇です」といった浅い紹介ではなく、その人の深い他己紹介をしてみましょう。「名前は〇〇、この名前は電話では、よく〇〇と間違われて困ったそうです。趣味は〇〇で、家ではほとんど毎日やっていて、特に〇〇が好きで、小学生の時からやっています。」など具体的に紹介します。一方で、ナイーブな質問やネガティブな質問はできるだけさけることも重要です。トレーニングで、こうしたことに気を付けることで、「セクハラ」しない、相手を傷つけない質問の仕方を身に着けることもできます。

相手から話を聴かなければ、自分が紹介する内容が薄くなるため、強制的に自分が話している時間がないという点でも、傾聴の練習になります。また、内容が間違っていてはいけないため、聞き直しをするというケースも出てくるため、より実践的な聴き方のトレーニングができます。

5.言い間違いストーリー

講師は、一部をわざと話し方の悪い、言い間違えたストーリーを話聞かせます。

例はこんな具合です。

「母さん、おはよう。昨日は、朝(に)仕事が立て込んで、なかなか食べる時間がなくて、結局退社する時間になってさ。ようやく食べられたのは、午後2時頃で、それも、客先に行く前に立ち寄った喫茶店で食べたサンドイッチだけで。でも、サンドイッチには、嫌いなからしが入っていて、半分も食べられなくて…。もったいないと思ったから、サンドイッチは半分持ち帰りで、包んでもらったんだ。これ、食べるかと思ってね。あと、夕方6時に退社したときに、先輩を夕飯に誘って、夕方7時に居酒屋に(向かって)、3時間くらいして、10時には帰宅したよ。」

全体の話の流れをつかみつつ、言い間違えた箇所を修正して聴けたかを試す質問を最後に行うことでトレーニングします。

話が得意でない人や、語彙の少ない人、言い間違いをよくする人などの話を聴く場合に有効です。

研修対象者は、研修を実施する講師や上司、先輩にあたる上級者向けの難易度の高い研修です。

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計算力

2022年10月19日